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【ニュース】シャネルがF.P.ジュルヌの株式を20%取得!ジュルヌ氏本人による解説あり

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シャネルが、モントルジュルヌSAの株式の20%のシェアを取得したというニュースが報じられ時計コミュニティで大きな話題になっています。

これまでのF.P.ジュルヌ

f:id:martybear:20180521235956j:plain出典: https://www.ablogtowatch.com/

F.P.ジュルヌは、天才時計師フランソワ-ポール・ジュルヌによって1999年に設立された時計ブランドです。時計師や職人によって製作される時計は、1年にわずか900本に限られています。製造から流通までを一貫して自社で行っており、独立した小さな企業ながら大きな成功を収めています。

また、F.P.ジュルヌは品質面での一切の妥協をしないことを実証してきた時計メーカーの一つです。その独立性を保つために、資本提携は一切しないという考え方があり、以前にご紹介したジュルヌ氏の「偏屈のすすめ。」という本の中でも以下のように書かれていました。

わたし以上に有名で、またビジネスの数字上で成功している時計師もいる。しかしその多くは、資本家の支援を受けたり、大資本に吸収されてしまっている。独立性は失われ、才能ある時計師のクリエーションが発揮される状況にはない。
「偏屈のすすめ。 自分を信じ切ることで唯一無二のものが生まれる。」 - フランソワ-ポール・ジュルヌ著

この方針は、F.P.ジュルヌのファンや時計コミュニティの間でも知られており、純粋な独立ブランドとしての強い評判と信頼がありました。そんなこともあり、シャネルがモントルジュルヌSAの所有権を20%獲得したという発表がいくつもの憶測を生み、大きな騒ぎへと繋がりました。

F.P.ジュルヌに関する情報提供メディア"The Journe Guy"のInstagramアカウントの投稿のコメント欄を見ても今回の件がファンにはあまり受け入れられない動きだったことは明らかです。

ジュルヌ氏がブランドに大きく関わっていることが、ブランドの独自性を最大化できている理由の一つですが、これにもひとつ問題があります。それはもし仮にジュルヌ氏がいなくなった場合にブランドがどうなるのかということです。これに関する解は、スティーブ・ジョブズ亡きあとのApple社と同じく後継者を立てるということでしょう。ですが、現状は弟子が複数人いるということですが、まだ設計〜製造までを一貫して全て任せることのできる後継者は現れてはいないようです。ただシャネルによる投資は悪いことばかりではなさそうです。

シャネルの投資スタイル

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シャネルは、自社で時計製造を行うだけでなくこれまでにも時計ブランドへの投資を行ってきた実績があります。また、ヴェルテメール兄弟が所有するフランスのラグジュアリーグループは、投資先の企業を尊重することで有名で、それに対して高い評価を得ています。シャネルが、Bell&Rossやローマンゴティエといったブランドに対して投資(資本提携)した際も彼らのイメージやビジョン、目標への干渉はありませんでした。ブランドの発展と維持、継続のために投資をしていると報じられたこともあったほどです。そして、このシャネルの投資スタイルが、ジュルヌ氏の望む独立性という部分と合致したのではないかとも考えられます。 

ジュルヌ氏が動画で理由を説明

追記: 2018年10月2日

フランソワ-ポールジュルヌ氏が、時計メディア「Watchonista」の動画で、フェラーリを例に上げその理由を以下のように説明しました。

『あるお話をしなければなりません。

1898年、カーレースに情熱を燃やした男が生まれました。お察しの通り、それはエンツォ・フェラーリです。

1947年、彼はフェラーリというブランドを立ち上げます。次の年に、彼は最高の車を作りました。 彼は情熱的でした。

1960年代の終わりに、彼はフィアットグループと彼の最高の顧客の一人であったアニェッリに参加しました。彼は提携の一環として株式をフィアットに売却しました。

1980年代には皆「エンツォの死後一体何が起こるんだろうか」と話しました。会社が死んでしまうかもしれないと。

ご存知のように、1988年のエンツォの死後も、同社は生きていて、これまで以上に美しくなりました。そしてエンツォの時代に作られたすべての車は大変な価値があります。

結論はあなたのご想像におまかせしましょう』

まとめ

 
 
 
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ブランドが危機に瀕した際に考えられるのは、他の多くのブランドがそうだったようにスウォッチやリシュモンなどの大規模なグループへの売却です。これにはジュルヌ氏の価値観を共有できるパートナーを見つけることが重要であり、同氏はこのシャネルの投資スタイルを考えて今回の資本の一部提携に至ったのではないかと推測できます。

また、シャネルのような大きなパートナーが得られたことは、景気下降時にもブランドを強固にすることができ継続性を強くすることができます。

結局のところ後継者をどうするのかという部分に関してのブランドの解はまだない(もしかしたらある)かもしれませんが、ひとまずシャネルというパートナーであれば、まだ大きく何か危惧しなくても良いのかも知れません。海外メディアは、特に現状は楽観的な意見が多いようですが皆さんはどうお考えですか?

※本記事は、以下の海外ニュースをもとに執筆しました。

F.P. Journe Sells 20% Ownership to Chanel: The True Cost of Independence - The Journe Guy

Chanel acquires a 20% stake in F.P.Journe | Time and Watches

INDUSTRY NEWS : Chanel acquires 20% share in Montres Journe SA – HOROLOGIUM

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