ロレックスの最高経営責任者を長年に渡って勤め2013年に亡くなった故パトリック・ハイニガー氏の希少なプラチナケースのエル・プリメロデイトナが、10月2日に開催されたサザビーズの香港ウォッチオークションに登場しました。ヴィンテージの手巻きデイトナは、近年急激に高騰していますが、自動巻きデイトナも例外ではありませんでした。
市場に初めて登場したエル・プリメロ搭載のプラチナデイトナ
デイトナ誕生50周年を記念して2013年にプラチナデイトナが発表されましたが、先代のエル・プリメロデイトナにも同様にプラチナモデルがあるのではないかというのは長年噂されていました。今回のオークションでその存在が明らかとなりました。
出典: Jake's Rolex Magazine
現行のプラチナデイトナに搭載されているキャリバーは、完全自社生産のCal.4130ですが、たった5本だけゼニス社製の自動巻きクロノグラフムーブメント「エル・プリメロ」を搭載したプラチナ製のデイトナが存在していたことになります。5本とも全てハイニガー氏が委託したもので、そのうち4本を友人とビジネスパートナーたちに贈り、残りの1本は彼自身の元にとどめました。すべてRef.16516というリファレンスナンバーを共有していますが、それぞれ異なる文字盤仕様でした。
プラチナ製MOPダイヤルの特別なコスモグラフ デイトナ
今回サザビーズで販売されたのは、タヒチ産の黒真珠貝を文字盤にあしらった市場に初めて登場したエル・プリメロ搭載のプラチナデイトナです。
ケースの裏蓋の内側にはPT950とプラチナケースを示す刻印が彫られています。内部のムーブメントは、ゼニス社製のエル・プリメロをモディファイしたキャリバー4030です。
プラチナ製のエル・プリメロデイトナの5本のうちの1本であることは先述しましたが、誰のものだったのかというのは気になる部分ですよね。サザビーズはクライアントの守秘義務のために単にハイニガー氏から贈り物として受け取った家族の委託による出品であるとしか公表していません。
ですが、それをたどるヒントが時計に残されていました。時計を裏返すとケースバックに「Francesca-Romain」と「16.10.1999」という刻印がされています。
この時計は、1999年10月16日にパリの教会で行われた結婚式に際しFrancesca Gobbi(フランチェスカ・ゴッビ)氏とRomain Sardou(ロメイン・サルドゥ)氏のための贈り物として作られたものです。結婚の様子は二人の名前を検索すると出てくるので気になる方はご確認ください。
ロメイン・サルドゥ氏は、フランス出身の小説家でありテレビ脚本家です。ただこのロレックスは、ゴッビ氏に関わりがありました。彼女の家族は19世紀に時計修理工房としてはじまったミラノでは非常に有名な時計店Gobbi 1842を所有しています。そしてGobbi 1842は何十年もの間ロレックスの正規店でした。そのためそのつながりで贈られたものだと考えられます。
きになる落札価格ですが、なんと6,840,000香港ドル。日本円にして約99,000,000円で落札されました。
詳細は以下の公式ページからご確認ください。
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※出典表記のない写真は全てサザビーズ公式の画像です。