腕時計の読みもの

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『偏屈のすすめ。』時計ファンはもちろん全てのクリエイターにおすすめの一冊

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今回ご紹介するのは、独立時計師フランソワ-ポール・ジュルヌが執筆した『偏屈のすすめ。』です。

時計好きの間では知られている本で、一度は読んでみたいと思っていた本をようやく手に取りました。

天才時計師フランソワ-ポール・ジュルヌ

f:id:martybear:20180521235956j:plain出典: https://www.ablogtowatch.com/

フランソワ-ポール・ジュルヌは、ブレゲの再来と言われるフランス出身の天才時計師です。

「日本人で、わたしのブランドを知っている人は1%もいないだろう」

引用: 偏屈のすすめ。- フランソワ-ポール・ジュルヌ

まえがきにそう記すジュルヌ氏のブランドは、同氏の名を冠したF.P. Journe(FPジュルヌ)というブランドです。

スイスの本社には社員が100人ほどで年間の生産数は約850本。まさに知る人ぞ知るブランドといえます。

私も時計を好きになり、時計について自分で調べたりいくつも購入するようになるまでは名前すら知らないブランドでした。

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出典: http://www.thefrenchelegance.com/

FPジュルヌの時計は、ひと目見たらそれと分かるデザインが特徴です。上部写真のようなインデックスがオフセンターに配置された時計などが特に有名です。

またデザインだけでなく複雑機構を搭載した独創的なムーブメントをいくつも開発していることでも知られています。

私も実際に時計を手にしたことがありますが、触れたときからその上質さが伝わってくるようでした。複雑機構を載せながらも薄さを追求しドレスウォッチとしてまとめ上げ、トランスパレントバックから覗くムーブメントも本当に美しいです。数多の時計愛好家たちが彼の時計に惚れ込む理由が少し分かった気がしました。
値段を聞いてすぐに腕から外しましたが...笑

 

天才時計師の時計作りへの信念と哲学を読む

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さていよいよ本についてです。本書はジュルヌ氏の幼少から現在にいたるまでの自叙伝です。各話の後には高木教雄氏の解説がついており、全226ページですが字が大きめなのでサクッと読めるボリュームでした。

時計の写真などは本の最初数ページにあるだけなので登場する時計はネットで調べながら読むとより楽しめると思います。私は手元にカタログがあったのでパラパラと捲りながら読みました。

本書では、ジュルヌ氏の徹底したものづくり(時計作り)に対するこだわりとその姿勢が書かれています。

わたしは「F.P.ジュルヌ」を、誰もが知るブランドに育てたいとは思っていない。わたしが望むことは、自分が理想とする時計を「誰にも邪魔されることなく」作り続けるだけ。
そのためには、わたし自身の目が十分に行きとどく、今くらいの規模がちょうどいい。そして、わたしが作る時計の価値をわかってくれる顧客の顔が見える範囲で販売し、わたしの理想を分かち合うことができれば、それで十分満足なのだ。
引用: 偏屈のすすめ。- フランソワ-ポール・ジュルヌ

普通の経営者であれば利益を追求していくところですが、経営者であると同時にクリエイター(時計師)でもあるジュルヌ氏は、利益ではなく自分の理想とする時計を追求し自分の作りたい時計だけを作ることを最優先に考える。そしてそれを認め分かってくれる顧客以外には興味を示さない。

このジュルヌ氏の自分の好きなことを徹底的に突き詰め、その時計の価値を本当に理解する人だけが購入してくれれば良いという考え方は全てのクリエイター達の究極の理想であり憧れだと思います。これはひとりの時計師による本ですが、ものづくりに携わるクリエイターなど時計ファンではない方にも非常におすすめの一冊です。

 

 

FPジュルヌの公式サイトはこちら

www.fpjourne.com