腕時計の読みもの

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【レビュー】IWC Cal.89 1950年代ヴィンテージウォッチ

IWC Cal.89

私が初めて買ったヴィンテージウォッチは、今回ご紹介するIWCのCal.89というムーブメントを搭載したモデルです。

残念ながらモデル名や品番名などは不明で、購入する際もそれほど知識が無かったのですが、実はCal.89が当時の手巻きムーブメントでも高い評価を得ているものだということを知りました。

今回は、そんなCal.89というムーブメントとそれを搭載した時計についてご紹介します。

IWC Cal.89

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出典: https://www.continuer.jp/

この時計を手に入れたのは、恵比寿にあるContinuer(コンティニュエ)という眼鏡やサングラスを扱うセレクトショップに隣接されているコンティニュエ・エクストラスペースというヴィンテージウォッチを取り扱うお店でした。

Continuer Inc.|メガネ・サングラス|Select Shop

時計関連のサイトを流し見していたところこのお店でヴィンテージウォッチのフェアを開催されるということで気になって足を運んでみたのがきっかけです。

ヴィンテージウォッチは、私が祖父から受け継いだロレックスのオイスターパーペチュアルデイト Ref.1500というモデルを愛用しているので、所有するヴィンテージウォッチとしては2本目ということになります。

IWCの傑作ムーブメントCal.89とは

Cal.89

出典: https://forum.tz-uk.com/

Cal.89は、1946年から1970年代まで製造されたIWCの手巻きムーブメントです。

Cal.89を設計したのは、アルバート・ペラトンというIWCの「ペラトン自動巻き」を手掛けた人物です。

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出典: IWC公式

ペラトン自動巻きは、耐摩耗性と巻き上げ効率の高さに定評があります。そしてこのペラトン自動巻きの成功には、ベースムーブメントとなったムーブメントがあり、それがこのCal.89というわけです。

Cal.89は、秒針が文字盤の中心にあるセンターセコンドを採用したムーブメントです。そして当時のセンターセコンド機としては最も薄い3.85mmという薄さでした。

薄型のセンターセコンドは、IWCの堅牢さ以上にとりわけアメリカで評価されました。

Cal.89は安定性の高いムーブメントであり、どんな状態でも直しやすいというメリットもあります。

同年代のムーブメントには魅力的なものがあります。ゼニスの135やオメガ30mmなどがそうなのですが、これらのムーブメントと比較してもCal.89はトータルバランスで優秀なムーブメントと言えます。

89の配列は一見するとスモールセコンドムーブメントのように見えます。ムーブメントの3番車で動かすいわゆるインダイレクト・センターセコンド方式が採用されています。

また、ロービートムーブメントながら精度を高めるためにゼンマイの入る香箱を拡大しています。配置されているのは先の画像の左にある大きな歯車の下です。

ちなみにこの輪列を考案したのはペラトンではなく前任のピュゾーであると言われています。

精度に関しては、私の所有するCal.89は平置きで+30秒程度でした。

外観レビュー

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出典: https://www.continuer.jp/

ケース

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ヴィンテージウォッチ、ケースサイズが34mm程度で現行品と比較すると小さめで現在ではレディースサイズに該当する時計が多いです。

ですが、このCal.89を搭載した時計については、36mm程度の時計が多くあり現在でも違和感なく使うことが可能です。

私が購入したこのCal.89もケースサイズが36.7mmなため使いやすいサイズ感です。

このケースを選んだ理由は現行デザインにはないラグの形状です。

現行デザインには見られない特異なエレガントな形状が魅力です。

文字盤

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日本は高温多湿なためヴィンテージウォッチに関していえば文字盤に錆が出やすい環境です。

この個体も御多分に洩れず文字盤の劣化が見られます。

ストラップ

ラグ幅は19mmです。奇数サイズのストラップは中々手に入らないのですが、ミゾラーウォッチマンさんで入手したバンビのストラップがぴったりはまります。

やはりヴィンテージウォッチには、かがり縫いをしたストラップがよくあいます。

着用レビュー

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36.7mmのサイズは細腕の日本人にはぴったりのサイズです。

手巻きの薄いケースなため袖口にすっぽり収まります。着け心地も良好で軽さのために着けているのを忘れるほどです。

総評

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ヴィンテージウォッチはどうしても防水性能の欠如などで取り扱いが難しい時計です。

夏場に革ベルトで着ける場合は汗を吸収するため、ウォッチケースにもシリカゲルを入れるなどの必要があります。

ですが、気を配らなければならないからこそ愛着が湧くものです。

名機Cal.89を搭載したある意味で定番ウォッチからヴィンテージウォッチに入ることは一つの正解なのかなと思います。

良い状態の個体を見つけるのは難しいですが、信頼のできるショップを見つけることが第一歩になるかと思います。

基本情報

ブランド:  IWC (インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)
モデル: 不明
リファレンス番号: 不明
ケースサイズ: ケース径 36.7mm
ケース素材: ステンレススチール
防水性: 無

ムーブメント情報

キャリバー: Cal.89
パワーリザーブ: 36時間
駆動方式: 手巻き
振動数: 2.5hz 18,000振動/時
石数: 17石

価格

定価: 不明 (購入価格は税抜き185,000円)