腕時計の読みもの

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ジャン・ルソーで時計の革ベルトをカスタムオーダーしてみた

ジャン・ルソーで時計の革ベルトをカスタムオーダー

腕時計のストラップ(革ベルト)をオーダーしたことはありますか?

私はこれまでネット通販で既製品をいくつか購入したことがあったのですが、オーダーをしたことはありませんでした。

今回、高級革製品メーカーJean Rousseau(ジャン・ルソー)様のご協力の下、ストラップのオーダー体験をさせていただくことができました。

本記事では、ジャン・ルソーでのカスタムオーダーのオーダーから受け取りまでをご紹介します。

ジャン・ルソーとは

ジャン・ルソー ロゴ

体験談の前にJean Rousseau(ジャン・ルソー)についてご紹介します。

ジャン・ルソーは、パリ、ロンドン、ニューヨーク、東京に拠点を置く高級革製品メーカーです。

ジャン・ルソーのバッグ
ジャン・ルソーのiPhoneケースや既成品の革ベルト

時計の革ベルトが中心ですが、財布やカードケースを始めとした革小物やブリーフケース、そして最近ではiPhoneケースなども取り扱っています。

時計用の革ベルトを提供するメーカーは日本にもいくつかありますが、その中でもジャン・ルソーは、カスタムオーダーに定評のあるブランドです。

アトリエ ジャン・ルソーで職人と話す顧客

もちろん百貨店、時計専門店やオンラインショップから購入することも可能ですが、日本で銀座に唯一ある『アトリエ ジャン・ルソー』では、職人の方と直接話しながらカスタムオーダーすることができます。

私は、オーダーするために実際にアトリエ ジャン・ルソーにお邪魔してきました。

アトリエ ジャン・ルソーとは

銀座にあるアトリエ ジャン・ルソー

こちらが銀座にある『アトリエ ジャン・ルソー』です。

ロレックス、ジャガー・ルクルト、A.ランゲ&ゾーネなど数多くの名門時計ブランドのブティックが並ぶ銀座並木通り沿いにあります。

銀座駅からは徒歩5分と非常にアクセスも良いです。

アトリエ ジャン・ルソーの店内は、ブティックと工房が併設されています。

アトリエ ジャン・ルソーの奥に併設されている工房

店内手前のブティックでオーダーを行い、オーダーされたストラップは、全て奥の工房で職人によってひとつひとつ作られています。

 

ストラップをオーダーする時計

ストラップをオーダーしたい時計は、必ず店舗に持っていくようにしましょう。

実機のベルト幅を計測したりするのはもちろんのこと革ベルトとあわせたイメージをより明確にするのにも必要になります。

ストラップをオーダーするIWCのヴィンテージウォッチ

私がオーダーをご依頼した時計は、IWCのヴィンテージウォッチです。

シンプルな3針時計でオーダー時に使っていたのはブラックのレザーストラップです。

IWCのヴィンテージウォッチを選んだ理由は、ベルト幅が特殊で既製品では手に入れることができなかったことと雰囲気を変えたかったためです。

もう一本ロレックス サブマリーナーデイト 116610LNもご依頼したのですが、本記事ではIWCを中心に解説・紹介していきます。

もちろん最後には、完成したサブマリーナーデイトのストラップもご紹介しますよ。

ストラップオーダー編

今回お世話になったのは、アトリエ ジャン・ルソー店長の飯田さんです。

オーダー時の疑問点や製作時の風景も見せていただきました。ありがとうございます!

作りたいイメージを伝える

moto94121のInstagramアカウント

オーダーの際にまず一番最初に行うのは、職人の方とのコミュニケーションです。

どんなストラップが欲しいのか、どんなシーンで利用するつもりなのかといったことを相談します。 

もちろん最初からこんなベルトがいいというイメージがある方もいれば、とにかく作りたくて来店するという方もいらっしゃるようです。

アトリエ ジャン・ルソー店長の飯田さんは、Instagram上でこれまで製造したストラップを公開されていますので、チェックしてみると参考になるかもしれません。

www.instagram.com


表革の素材

ジャン・ルソーの豊富な革ベルトの種類

イメージをもとに素材となるレザーを選んでいきます。

レザーの種類には、トカゲ、ニシキヘビ、ダチョウ、シャーク、ルイジアナアリゲーター、またガリューシャといった高級レザーを取り揃えています。

カラーはなんと600種類以上もあります。

ジャン・ルソーの種類豊富な革ベルト

この豊富なバリエーションの背景には、ジャン・ルソーの自社のなめし革工場があります。

これは高級革製品メーカーとしては珍しいもので、厳しい品質管理と高い技術による加工が行われています。

また、新しい素材の開発も行われており、ブティックに訪れるとこれまで見たことのない素材がなんてこともあるようです。

マットなダークグリーンのクロコダイルレザー

私が悩みに悩んで選択したのはこちらのマットな質感が特徴的なダークグリーンのアリゲーターレザーです。

普通のブラックのレザーにすることも考えたのですが、やはり当初の雰囲気を変えたいという思いもあったのでほんの少し変わったものにしてみました。

表革の部位

ダークグリーンのクロコダイルの元素材

レザー素材を選択したら今度はどの部分を使用するかを選びます。

上の写真は、切り取る前のアリゲーターです。ダークグリーンということもあってなんだかリアルな感じがしますね。

レザーの切り出す位置決め

私は、ストラップの下にいくほど細かい竹斑になるような位置を切り出すことにしました。

裏革の素材

ジャン・ルソーの裏革の素材

次は、ストラップ裏側の革素材選びに移ります。こちらもいくつも種類があるのですが、大きく分けて以下のパターンに別れます。

  • カーフレザー
  • ラバー素材
  • アンチスウェットレザー

レザーストラップは汗などの水に弱いため、より長持ちさせることができるラバー素材などを選択される方も多いのだとか。

ネイビーの防水加工が施された裏革用のレザー

私が選択したのは、ネイビーの防水加工が施されたアンチスウェットレザーです。

ラバー素材も検討したのですが、シンプルな3針のいわゆるドレスウォッチのため、なるべく薄いベルトにしたいという思いがありこれに決めました。

ステッチ

ストラップに使用するステッチを選びます

次はステッチ決めにうつります。ステッチは、ありなしを決めることが可能です。

レザーの種類はもちろんのことジャン・ルソーでは様々な色の糸を揃えています。

色は、上下のストラップで別の物を選ぶことも可能ですよ。

同系色のグリーンのストラップを選択

私は同系色のものを選びましたが、スポーティーな印象にしたい場合などは逆に目立つ色にしてみるのもありなんだとか。

糸を決めたらステッチの入れ方と縫い方も選択します。

ステッチを入れる箇所

IWCのヴィンテージウォッチということで、ストラップもヴィンテージ感を出すためにラグとバックル部分の6箇所をかがり縫いするデザインに決めました。

縫い方は、通常のミシン縫いの他、オプションでハンドステッチを選択することもできます。

ストラップのサイズ

プラスチック製のノギスでラグ幅を計測

表裏の素材とステッチが決まったらサイズを決めていきます。

まずは、気になっていたラグ幅をプラスチック製のノギスを用いて計測します。

元々着けていたストラップは18mm幅のものだったのですが、数mm程度隙間が空いていました。計測してみるとIWCのベルト幅は19.2mm、隙間が空くはずです。

多くの時計は、20mmや22mmとジャストな数字なので問題ありませんが、ヴィンテージ時計やカルティエなどコンマ以下の幅の場合は正確な数値を出すために慎重に金属製のノギスを使用する場合もあります。

金属製のノギスでラグ幅を計測

私のIWCもヴィンテージウォッチのため、念の為金属製ノギスでも計測していただきました。数値は19.32mmでした。

ここまで細やかにされる理由を飯田さんにお伺いしたところ、以下のようなご回答をいただきました。

例えば、今回のお時計の「19.3mm」の場合ですが、仮にプラスチックノギスで計測した場合、誤差で「19.6mm」と出たとします。この「19.6mm」を基準にストラップを作成した場合、数字上では完成したストラップが「20.0mm」でも使用は可能です。

しかし、実際の幅は「19.3mm」ですので、「20.0mm」のストラップを付けるには少々大きすぎてしまう。ということが起こり得るからです。

アトリエ ジャン・ルソー店長 飯田さん

実際にジャン・ルソーでは、ストラップがしっかりと固定されるよう、ラグ実寸より少々大きめに仕上げるようにしています。

ということで私はベルト幅は、時計側を19.3mmに尾錠側は16mmでオーダーすることにしました。

剣先

剣先は、ボート、オメガ型、スクエア、ラウンドの4種類

剣先は、ボート、オメガ型、スクエア、ラウンドの4種類から選びます。

ボートやラウンドが一般的でオメガ型は、IWCのポルトギーゼの純正ストラップなどで使われているものです。私はボートを選択しました。

ボンバージュの形

ボンバージュは、ラウンド、スクエア、フラットの3種類

ボンバージュの形はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、ベルトの中心に芯を入れるかどうか、そして入れたときの形状のことです。

これはベルトの厚みに関わってくるのですが、私のヴィンテージIWCは手巻きで非常に薄い時計のためフラットにしました。

ループ

革を留めるための定革と呼ばれる可動しないループと遊革と呼ばれる可動するループを決めます。

両方とも付けるオーソドックスな形にもできますし、どちらか片方のみにすることもできます。私は両方とも付ける形にしました。

尾錠

尾錠は、元々時計についていたものを使用することも出来ますし、ジャン・ルソーが提供する尾錠かDバックルを購入することも出来ます。

カラーは、ステンレス製の尾錠とゴールドメッキの尾錠の2種類です。

今回は、せっかくなのでジャン・ルソーのロゴの入った尾錠にしてみました。

穴の数

穴の数は、もちろんオーダーのため選ぶことが出来ます。

通常の6箇所や3箇所を開ける形でもいいですし、受け取りの際に調節して1箇所だけ開けるなんていうことも可能です。

私は、受取時に1箇所穴を開ける形にしました。

 

ストラップ完成までの目安

カスタムストラップのオーダー編は以上です。

あとは、完成を待つだけです。

ジャン・ルソーの納期は、以前は約6週間前後かかっていたこともあったのですが、現在ではオーダーをしてから約10日〜2週間程度で納品できるとのこと。

依頼状況によって前後するようですが、カスタムオーダーとしては爆速ではないでしょうか。

革ベルト製作編

アトリエ ジャン・ルソーの工房で作業をする職人

今回は、取材ということで特別に製作時のいくつかの工程も見せていただきました。

革の切り出し

約150種類ある型

まずは革をストラップの形に切り出す工程があります。

様々な要望に応えるためにアトリエには約150種類もの型が用意されています。

切り出す際は、この型とプレスする機械を使用します。

革の上に型を置きます
型をプレスするとくり抜かれます

革の上に型を置いて上からプレスすることできれいに切り取られます。

ストラップの形にくり抜かれたレザー

こちらが切り出されたレザーです。もう既にそれっぽいですよね。

革をすく機械

革を薄くする機械を使って梳く工程が入ることも。

実際には使用しないそうですが、裏が透けて見えるほど薄くすることもできます。

縫い合わせ

ジャン・ルソーで使われているレーシングポニー

こちらなんだか分かりますか?

これはステッチングツリーやレーシングポニーと呼ばれる道具でストラップを手縫いする際に使う道具です。非常に大きいですよね。

レーシングポニーは股に挟んで使います
レーシングポニーを使ってストラップを縫い付ける様子

使い方は、ストラップを先端部分で挟みます。そのままレーシングポニーを股に挟み針と糸を使って縫い合わせていくのです。

卓上に置いて使えるタイプのものもあるそうで、職人の好みでどちらを使うかは決まるんだとか。

コバ処理

ジャン・ルソーの職人によるコバ処理の様子

縫い合わせられたストラップの端にコバ処理を施すことで耐久性を増すことができます。

この他にも様々な工程や使われている機械がありますがひとまずこの辺で。

受け取り編

オーダーをしてから12日ほどで完成のご連絡をいただきました。

完成目安が10日から2週間程度なので、正直言ってかなり早く出来上がったなぁという印象です。受け取りのためにまた銀座のアトリエに伺いました。

完成品のチェック

完成したレザーストラップ

さっそく完成品を見せていただきます。

出来栄えはというとやはりカスタムオーダーなので思ったとおりの仕上がりになっており大満足でした。

オーダーしたIWC用のストラップ
完成したIWC用のジャン・ルソーのストラップ

マットグリーンの発色がよく竹斑も美しいです。

ジャン・ルソーのロゴが入ったバックルも可愛いですよね。

ストラップ取り付け

一通りチェックが完了し問題がなければ、腕時計に取り付けます。

こちらが取り付けた状態のヴィンテージIWCです。

ヴィンテージIWCにジャン・ルソーのストラップを着けた様子

どうでしょうか?ブラックからダークグリーンでもかなり印象が変わりますよね。

春先などやきれいめカジュアルな服装にもあわせやすそうな印象です

ロレックス サブマリーナーデイトは、鮮やかなスカイブルーカラーのカーフレザーで白いステッチをいれたものにしていました。

ロレックス サブマリーナーデイトに取り付けたジャン・ルソーのストラップ

Dバックル仕様でループは定革と遊革の2つにしています。ブレスレットから鮮やかなレザーストラップにしたのですが、こちらはガラッと印象が変わって別の時計のような雰囲気になりました。

裏はラバーストラップにしているため、夏場でも活躍しそうですよね!

穴あけ

私の場合は、ベルトの穴を開けていないため腕に巻いた状態で目印を着けて開ける位置決めをします。

ストラップの穴開けのために腕に巻いて計測

今回は、おすすめされた1つだけ穴を開けるスタイルにしました。
穴が1つだとかなりスッキリした見た目になります。
見た目以上に嬉しいのは、他に穴が無いためそこから汗を吸収することがないという点ですね。

穴を開けた状態で腕につけてみて問題なければ完成です!!

ストラップ完成

さっそく着けて外でリストショットを撮影しました。

ジャン・ルソーのストラップを付けたヴィンテージIWC

どうでしょうか。

ビスポーク品なだけあってラグの部分もぴったり、そして穴の位置も自分の腕にあわせているのでジャストフィットです。

ロレックス サブマリーナーにジャン・ルソーのスカイブルーのストラップを付けてリストショット

こちらはロレックスサブマリーナーです。スカイブルーのレザーと白いステッチのコントラストが強くスポーティですが可愛らしい印象になりました。

しばらく着けていなかったこの時計もまた活躍してくれそうです。

まとめ

Vintage IWC with bespoke strap by Jean Rousseau

今回は、高級革製品ブランドのジャン・ルソーでのカスタムオーダー体験をお届けしました。

素材選びからストラップの穴の数に至るまで自分の思いと職人の技が詰まったストラップは、やはり愛着がわきます。

Rolex Submariner with bespoke strap by Jean Rousseau

私は、10本程度時計を所有していますが、その中でもこの2本の着用回数が増えたのはいうまでもありません。

今回は、銀座のアトリエ ジャン・ルソーでのオーダーでしたが、オンラインでもカスタムオーダーは受けられています。遠方の方でも気軽にオーダーすることができますよ!

みなさんも是非ストラップのオーダーをしてみてはいかがでしょうか。

料金表

以下、オーダーメイドの料金表とオプション料金表となります。

時計ベルトオーダーメイドの料金表
革の種類 サイズ 価格
ガルーシャ 全サイズ 52,650円
アリゲーター / 竹斑 22mm〜 48,870円
18mm〜21mm 45,630円
〜17mm 42,390円
アリゲーター / 丸斑 22mm〜 34,560円
〜21mm 31,860円
リザード / シャーク
オーストリッチ
22mm〜 30,780円
〜21mm 28,620円
コーデュラ / ラバー 22mm〜 30,780円
〜21mm 28,620円
サテン / アルカンターラ 全サイズ 21,060円
カーフ 全サイズ 19,980円

 

オプション料金表
オプション内容 価格
ハンドステッチ 5,670円
アリゲーターライニング 5,670円
スペシャルオーダー 5,670〜円
D-バックル 5,670円

※上記料金には全てオーダー料金が含まれています。
※全て税込み価格

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