モンディーンというブランドを聞いたことがあるでしょうか。モンディーンは、スイス鉄道時計のデザインを公式に使うことが許されている時計ブランドでその名前は聞いたことがなくともどこかで一度は目にしたことがあると思います。
今回は、特別に珍しい機能を持ったstop2goというモデルをお借りすることができたので実際に2週間ほど着用した上でレビューしました。
スイス鉄道時計と時計ブランド「モンディーン」
出典: https://www.mondainewatch.jp/
1944年、スイス人エンジニアでありデザイナーのHans Hilfiker(ハンス・フィルフィカー)は、電話ケーブルを介して駅間の時刻を同期する新しいシステムの時計をデザインしました。このシステムは数千ある各駅の時計の時刻を1分ごとに再同期するもので、2秒間停止する機能によって時刻の同期を可能にし、時計の遅延やエラーなどを解消していました。
秒針は頂点で停止し、次の分を知らせる信号を待ち、この信号により長針が進み、同時に秒針が再び周回を開始する
引用: Hans Hilfiker in Hans Hilfiker, Ingenieur und Gestalter, Reihe Schweizer Design-Pioniere 1, p.31、右段第2段落、チューリッヒデザイン博物館、1984年
この秒針が一時停止する機能を「Stop To Go」と呼び現在でもスイスの駅で見ることが出来ます。この計時装置はMOBATIMEという会社が製造しており、一般には販売されていません。個人向けに市販しているのは、今回ご紹介するブランドがMONDAINE (モンディーン)なのです。
出典: https://www.mondainewatch.jp/
モンディーンは、1951年にFrank & Bernheim(フランク&ベルンハイム)という時計の輸入販売の会社としてブラジルで設立されました。その後1954年に社名をモンディーンに変更しています。
同社は、1980年代半ばにスイス鉄道時計のデザインを使用する権利を得ました。
そして2013年にこの毎分ごとに2秒停止する機能をもったstop2goという時計をリリースするに至ります。モデル名も「Stop to Go」から取っているんですね。
スイス鉄道時計は、遠くからでも時間が分かるように白文字盤に黒いインデックスに黒い時分針、さらに赤く先端に丸い形を持った全体的に非常にはっきりとしたデザインが特徴です。実は過去にデザインに非常に重きをおく米Apple社の時計アプリのデザインに使用されたこともあり、ここからもデザインの完成度の高さをうかがうことが出来ます。
外観レビュー
ケース
stop2goには、2秒停止の機能を持った専用のムーブメントが搭載されているのはもちろんのことケースなどがわずかにリデザインされています。サテン仕上げされた41mmのステンレススチール製のケースは、他の通常のモンディーンのデザインに比べてよりモダンでより工業製品的印象を与えます。
リューズは、特徴的なボリュームのつまみのようなデザインです。ユニークなデザインで面白いのですが、時刻合わせをする際に少々引き出しにくいのが難点です。
ケースの裏にはモンディーンのブランド名とスイス鉄道公式時計の証が記されています。赤く丸いデザインがお洒落ですね。
文字盤
文字盤上には、モンディーンのロゴの他に「SBB CFF FFS」という表記がされています。SBBは、Schweizerische Bundesbahnen(スイス連邦鉄道)の略で、ドイツ語を略したものです。スイスは、他にフランス語とイタリア語なども公用語として使われているためCFFはフランス語で、FFSはイタリア語で同じ意味を表します。
風防は、無反射コーティングされた風防で時計自体のデザインもシンプルなため視認性は非常に高いです。パッとみてすぐに時間が分かるのでとても使い勝手がよく感じました。
夜光
stop2goには、一見夜光塗料が無いように見えますが、実はデザインを邪魔しないように針の裏にスーパールミノバ(蛍光塗料)が塗布されています。明るいところで白文字盤に反射した光で夜光塗料をチャージする仕組みになっています。モンディーンらしさを崩さずにそのシルエットを浮かび上がらせるのはなかなか粋な演出ですよね。
ストラップ
純正のストラップは、黒い本革でバックルにモンディーンのロゴが入っています。黒のステッチでコバ処理もされており、シンプルにまとまっています。革は一週間もつけていればすぐ馴染みました。
出典: https://www.mondainewatch.jp/
黒い革ベルトのモデルはMST.4101B.LBですが、赤い革ベルトのMST.4101.B.LCも存在します。モンディーンはペアウォッチとして使われる方も多いようですので黒と赤であわせてみるのも良いかもしれないですね。
ラグ幅は、20mmで他のストラップに変えることも可能です。いくつか持っているNATOストラップも試したのですが、やはり文字盤がシンプルなため合わせやすくかなり色々と遊べる印象です。
ムーブメント
stop2goのムーブメントは、キャリバー58-02クォーツムーブメントです。開発には4年以上かかったということで同社の本気度がうかがえます。通常の時計は60秒で1周するのですが、stop2goは秒針を58秒で1周させて2秒間停止し、また動き出すようになっています。
秒針の動きはステップ運針ではなく自動巻き時計のようにスムーズな動きをするのが特徴的です。といっても振動数の小さいロービートの時計のような動きですが。
ムーブメントは想像よりも複雑な作りになっており、2つの別々のモーターが使用されており、時分針は秒針とは異なる輪列で動作します。理論的には、1つのムーブメント内に2つの機構があるようなものなので普通のクォーツムーブメントよりも消費する電力が多いため、リチウムイオン電池が必要となり、バッテリー寿命は3年程度のようです。
stop2goの時刻のあわせ方
時刻合わせをする際は、リューズを引き出すことで秒針が自動的にゼロ秒に戻る機構があります。リューズを前に回してそのままにすると時間が早戻りし、手前に回してそのままにすることで早送りすることが出来ます。小刻みに操作すると一分単位で針が動きます。また、リューズをぐっと押し込んだまま少し待つとゼロ秒リセットが可能です。
時計ブランドの新作ムーブメントは往々にして故障がつきもので、ネット上をみるとそういった声も聞こえたのですが私が使用している分には特に問題はありませんでした。おかしいなと思ったらリセットをおすすめします。
着用レビュー
私は実際にモンディーンの時計を所有したことはありませんでしたが、最初に手にとった時の印象はとても見やすく整ったデザインで手頃な価格帯が魅力的な時計だなとおもいました。
厚さ11.5mmのケースのため横から見ると少し分厚いなという印象はあるのですが、実際に使っている面ではさほど気にはなりませんでした。
時計好きではなくても見たことのある人も多いようでまたデザインが特徴的なので時計について話しかけられるなんてことも度々ありました。
総評
これまで気になってはいたものの着けたことはなかったのですが、実際に使ってみるとどんなファッションにもあわせやすくカジュアルに使える優秀な腕時計でした。41mmというサイズ感が少し大きくは感じるものの少しオーバーサイズ気味で楽しむと考えれば女性も楽しめる時計だと思います。
専用ムーブメントが搭載されておりモンディーンの中でも高価なモデルの方なのでワンランク上のモンディーンといった感じですね。いつかはstop2goをと考えているモンディーンファンもいるんだとか。
もし店頭で見かけたらぜひ一度手にとって秒針に注目してみてください。毎分訪れる2秒間に思わず微笑んでしまうと思います。
さらに詳しい情報は、公式ページから
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基本情報
ブランド: Mondaine (モンディーン)
モデル: stop2go 2017(ストップ・トゥ・ゴー 2017)
リファレンス番号: MST.4101B.LB
ケースサイズ: ケース径 41mm / 厚さ 11.5mm
ケース素材: ステンレススチール
防水性: 3気圧
ムーブメント情報
キャリバー: Cal. 58-02 stop2go
パワーリザーブ: -
駆動方式: メカニカルクォーツ
振動数: 4hz 28,800振動/時
石数: -
価格
定価: 84,000円(税抜)