世界最大の時計製造グループであるスウォッチグループが、バーゼルワールドから撤退することを発表しました。
時計業界最大手がバーゼル不参加を表明
スイスの新聞ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングの週末版であるNZZ am Sonntagによれば、世界最大の時計製造グループであるスウォッチグループのCEOニック・ハイエック氏が同紙に個人的に語ったとのことです。
Swatch Group verlässt Uhren- und Schmuckmesse Basel | NZZ am Sonntag
バーゼルワールドは、世界の時計と宝飾品市場全体における最も重要なイベントとされていましたが、エルメス、ユリス・ナルダン、ジラール・ペルゴがジュネーブで開催される時計見本市SIHHに参加するなど近年は縮小傾向にありました。
伝統的な時計見本市はもはや不要か
スウォッチグループは、5,000万フラン(約50億円)以上の見本市への予算を投下していました。
スウォッチグループのニック・ハイエック最高経営責任者(CEO)は、時計事業が「より透明性が高く、ペースの速い自発的なもの」になったことを踏まえ、伝統的な時計見本市はもはや有意義ではないと話しました。特に消費者へのアプローチは、SNSなどインターネットを介した発信や拡散が大きくなったため見本市のPR効果が薄れたことも来年のバーゼルワールド2019には参加しない大きな要因となります。
日本の時計業界は、まだまだ紙媒体への出稿が大きいですが、業界関係者によればスウォッチグループの欧米での広告出稿は既にインターネット広告が中心となっており、来年以降はインターネット広告のみに絞る可能性もあると聞きます。
MCHのトップであるミシェリス・ロリス・メリコフ氏(Michel Loris-Melikoff)は、「新しいスタイルと新しい考え方で可能な限り魅力的にしていきたい」と考えており、2020年には大きな変化を計画しているようです。
他ブランドへの影響やいかに
2018年には、バーゼルワールドへの出展ブランドは650までに半減しており単一ブランドの撤退は驚くことではないですが、世界最大手のスウォッチグループの脱退は、運営企業であるMCHに深刻な打撃を与えるだけでなく時計業界全体へも波紋を呼ぶことは間違いないかと思われます。出展中止となるのは、スウォッチグループのオメガ、ブレゲやロンジンなど18ものブランド全てが対象となります。
すでにSIHHへと出展移行したエルメスなどや2018年を最後に出展移行を進めるブライトリングについては報道がされてきました。今回のスウォッチの脱退がLVMH、そしてパテック フィリップやロレックスといったブランドにどう影響を与えるのか非常に気になるところです。
続報があり次第また記事を掲載したいと思います。