2018年7月7日(土)の七夕にジラール・ペルゴの2018年SIHH新作を展示する「ジラール・ペルゴ フェア」に参加してまいりました。
- 2018 SIHH新作「ジラール・ペルゴ フェア」
- 会場はケンゾーエステイトワイナリー
- ジラール・ペルゴ フェアの魅力
- ロレアートの初代モデルから最新作まで
- ロレアートのデザイナーは一体誰か
- ジラール・ペルゴ ロレアート コレクション
- まとめ
2018 SIHH新作「ジラール・ペルゴ フェア」
ジラール・ペルゴは、1791年に創業し、創意工夫に富んだ機構の制作と美術工芸品のように丁寧な加工仕上げで時計の造形美を追求している、スイスの時計ブランドです。独自のコンセプトでうみだしてきたオリジナリティ溢れるタイムピースは、その存在自体がブランドアイデンティティであり、世界中の時計愛好家や収集家から高く評価をいただいております。
引用: 「ジラール・ペルゴ フェア」招待状より
ジラール・ペルゴは、1791年に創立した世界で4番目に古い時計ブランドです。今年のジュネーブの国際時計展「SIHH」でも数多くの新作をリリースしたジラール・ペルゴの新作にフォーカスしたもので、日本総代理店である「ソーウインド ジャパン株式会社」様主催のイベントでした。
会場はケンゾーエステイトワイナリー
本イベントの会場は、「KENZO ESTATE WINERY」(ケンゾーエステイトワイナリー)六本木ヒルズ店でした。ケンゾーエステイトは、2010年にナパ・ヴァレーの土地を開墾し立ち上げたワイナリーで、ぶどうの栽培から醸造、瓶詰めに至るまですべての工程を自社で一貫して行う100%自社製造のワインで有名です。今回この会場が選ばれたのも、ジラール・ペルゴの自社一貫生産、所謂マニュファクチュールに通づるものがあったからとお伺いしました。





今回のイベントでは、ワインテイスティングや食事もありました。
ジラール・ペルゴ フェアの魅力


やはり今回の展示のメインは、ロレアートシリーズの新作でした。イベントのために特別にスイスから取り寄せた展示用に分解されたムーブメントや文字盤を見せていただきました。実際にムーブメントを触らせていただいたり文字盤のクル ド パリを指でなぞって感じてみたりと普段できない貴重な体験ができました。
また新作についての解説をジラール・ペルゴ専属の時計師の方から詳細に伺うこともできました。
ロレアートの初代モデルから最新作まで


展示では、初代から第三世代のロレアートを見ることもできました。1975年に登場した初代は、アイコニックな8角形のベゼルとブレスレットが一体型のケースでクォーツムーブメントを搭載し非常に薄い作りになっています。驚いたのは、クォーツムーブメントといえば誰しもがセイコー社の名を上げますが、世界初のクォーツ式の時計の商品化はジラール・ペルゴだったとも言われているそうです。ジラール・ペルゴは、1969年にクォーツ時計の製造に成功しスイス初となる32,768Hz(=215Hz)周波数の自社製のクォーツムーブメントを開発しています。本モデルもその寺社クォーツムーブメントを搭載していました。
ジラール・ペルゴのクォーツムーブメントは自社生産のものであり、非常にコストがかかっているそうです。そのために他のブランドのクォーツ時計がオーバーホール時にムーブメントをそのまま載せ替える対応をするのに対しジラール・ペルゴではクォーツムーブメントも載せ替えをせずにしっかりとメンテナンスしユーザーのもとに返されるとのこと。クォーツモデルの以外な裏話を聞くことが出来ました。
第二世代は、1984年製で現行モデルにも見られるH型のブレスレットをはじめて採用したモデルでベゼルに併せて真ん中の駒をポリッシュし全体のまとまり感を上げています。こちらもクォーツムーブメントを搭載し、星座表示機能を持つモデルです。すこし現行モデルに近づいた感じがありますね。


第三世代は、初の自動巻ムーブメント搭載モデルとなります。先代の8角形のベゼルはそのままに現行モデルに非常に近い特徴を持ったモデルです。一方の第3世代のレディースモデルは、薄さと小ささを担保するためにクォーツムーブメント仕様で、メンズの自動巻きモデルと同じアイコニックなスタイルにまとまっています。上部左の写真を見ていただくと自動巻きでありながらクォーツモデルと遜色ないほどの薄い作りになっており、まさにラグジュアリースポーツウォッチの一角を担うモデルであることが分かるかと思います。
ロレアートのデザイナーは一体誰か
今回非常に気になっていたことを伺いました。「とある雑誌でロレアートのデザイナーが、アドルフォ・ナタリーニというイタリア人建築家であるという記事を拝見しましたが実際はどうなのですか?」と質問をしてみましたところ実際は、その方は全く関係がないとのこと。元となった記事の翻訳時に誤った記載になってしまったんだとか。では、「実際のデザイナーはどなたでしょう」と聞いてみたところジラール・ペルゴ内でも確実にこの人だということを名言はしておらず、おそらくジェラルド・ジェンタなのでは、という形でご回答いただきました。一体誰がデザインしたのか、時計好きとしては非常に気になるポイントですね。
ジラール・ペルゴ ロレアート コレクション
ジラール・ペルゴ ロレアート
出典: https://www.girard-perregaux.com/
こちらは、2018年新作ではなく2017年のモデルですが、ジラール・ペルゴの顔ともいえる代表作ロレアートです。数多くのバリエーションがあり、イベントでも実際に販売されていました。
ケースの厚みは約10mmでシャツの袖にも滑り込むおさまり感でクル ド パリ装飾の美しい文字盤も見ていて楽しい時計です。
このモデルは仕上げも本当に美しい時計で、特にブレスレットが素晴らしいです。中駒の磨き、ブレスレット裏表面の面取りが装着感を向上し細部に目をやると非常に多くの拘りが宿った時計だということがよく分かります。
ノーチラスやロイヤルオークに似ているという感想を述べる方もらっしゃいますが、確かにステンレス製のラグジュアリースポーツウォッチという括りではあるものの私にはそれそれが個性を持った別の時計であるという風に感じました。
トランスパレントバックでありながら、もちろんしっかりと100m防水を備えている点もポイントですね。
ロレアート セラミック
続いてこちらは、2018年新作のロレアートコレクションの中でもはじめてブラックセラミックを採用したモデルです。ケースサイズは、42mmと38mmのバリエーションがありました。オールブラックで非常に引き締まって見えるため細腕の私でも意外と42mmのモデルがしっくりきました。セラミック製で非常に軽いのはもちろんのことステンレスモデルと遜色ない磨きは流石のひとこと。オールブラックの時計はまだ持っていないので是非コレクションに加えたい一本です。
ロレアート スケルトン


こちらもセラミック仕様でスケルトンムーブメントが美しいモデルでした。大胆にくり抜いたローターは、18kピンクゴールドの重さがあるからこそ実現できたデザインで裏からも楽しめるようになっています。また通常版の他にインデックスリングと針にブルーのPVD加工を施したアメリカ限定モデルも展示されていました。
ヴィンテージ1945
出典: https://www.girard-perregaux.com/
個人的に非常に面白いなと思ったのは「ヴィンテージ1945XXLラージデイト&ムーンフェイズ」です。こちらは新作モデルではないのですが、ヴィンテージ1945シリーズのスケルトンモデルでジラール・ペルゴが特許を取得しているラージデイト表示の構造が非常によく分かるモデルでした。ブレゲやランゲなどは、2つのデイトの窓を使用して日付を表示しますが、ジラール・ペルゴは、ひとつの窓で表示する機構です。
出典: https://www.girard-perregaux.com/
これは、画像を見ていただくとよく分かりますが、黒いディスクと透明なディスクを使用することで実現しています。左側の透明のディスクは、日付の一の位の数字を表示し、その下に黒いディスクで十の位を表示します。
少々大きく見えるケースですが、ケースが腕に寄り添うようになだらかなカーブを描いているため付け心地はかなり良好でした。
オリジナルのクラシカルなデザインと先進的なスケルトンデザインが上手く融合したモデルだと感じました。
まとめ
実際に時計師の方からムーブメントや仕上げに関するお話を伺いながら時計に触れるというのはなかなか無いため、非常に貴重な体験をすることができました。
今回は2018年SIHH新作にフォーカスしたフェアであったにも関わらず新作ではないロレアートやヴィンテージ1945などを中心に見ていたことに記事を書いていて気づきました...。既にブティックなどでもロレアートのクロノグラフなど新作ウォッチを拝見していたからというのが言い訳ですが、次回イベントレポートを書く際はイベントの趣旨に沿った情報をお届けできるようにしたいと思います。