リシャール・ミルとオーデマピゲは、26日にスイスの首都ジュネーブで毎年開催されている高級時計の見本市「SIHH」から2019年を最後に撤退することを発表しました。
もうひとつのスイスの高級時計の見本市「バーゼルワールド」からは、2カ月前にスウォッチグループが撤退を表明、そして昨日はレイモンド・ウェイルが出展取りやめを発表していました。見本市への出展取りやめは、バーゼルワールドだけにとどまらないようです。
リシャール・ミルのSIHH撤退について
リシャール・ミルは、見本市というモデルがもはやブランドには当てはまらないと考えていることからSIHH 2019が最後になると述べました。先端素材や先端技術を駆使した革新的な時計製造で有名な同社は、2010年に初めてSIHHに参加しました。
「リシャール・ミルのブランドは、特に数多くの直営ブティックをオープンすることでここ数年で国際流通ネットワークを大幅に発展させてきました。また、需要の絶え間ない増加を満たすために複数ブランドを展開する小売業者による販売を大幅に削減しました。」と同社は声明で述べています。「その結果、リシャール・ミルの戦略と展示会でのブランドの存在が見合わなくなりました。Salone International de la Haute Horologerie(SIHH)から撤退を発表しなければならないのは非常に残念です」
オーデマ ピゲのSIHH撤退について
オーデマピゲは、リシャール・ミルの発表から3時間と経たないうちに、同様に2019年以降SIHHへの出展を取りやめることを発表しました。スイスのル・ブルシュに拠点を置く高級時計ブランドオーデマピゲの見本市への参画は19年に渡るものでした。同社もリシャール・ミルと同様にビジネスモデルの変化による決断であると話します。
「オーデマピゲのビジネスモデルは、変化しており、製造サイドとエンドクライアントである顧客とのより直接的な関係を築き、世界中の愛好家と向き合うための新たな方向性を模索することを決めた」と発表しています。
SIHHについて
SIHHは、入場料を払うことで誰でも入場できるバーゼルワールドとは違い、完全なる招待制度を取り各ブランドから直接招待を受け取った顧客や事前に許可を得た時計業界の関係者やプレスしか入場することができないいわば独占的な時計市です。1991年に当時遥かに大きな勢力を持ったバーゼルワールドとは別に素晴らしい時計製造のための限定された集まりとしてSIHHは設立されました。1992年に開催された最初のSIHHでは、カルティエ、ボーム&メルシエ、ピアジェ、ジェラルド・ジェンタ、ダニエル・ロートの5ブランドのみでした。それからの10年間のリシュモングループ、LVMHやスウォッチグループによる相次ぐ買収により大きな変更があったことはご存知のとおりです。
SIHHは、Fondation de la Haute Horlogerieにより運営されていますが、リシュモングループが大きな出展者であることから「リシュモンショー」とも呼ばれています。
近年SIHHは、設立当初の限定的なものではなくなってきています。2016年にはCarréDes Horlogers(カレ・ド・オロロジ)という小規模メゾンが集まる場も作られました。その1年後にはKering(ケリング)が所有するジラール・ペルゴとユリス・ナルダンが加わりました。2018年には、エルメスも出展者となっており、2017年には初めて一般公開もされることとなりました。
SIHHの公式記録によると2018年は訪問者数が2万人と20%増加し、そのうちの12%である1,500人がメディアであるとのことです。
リシャール・ミル、オーデマピゲの両ブランドとも運営元であるFondation de la Haute Horlogerieへの感謝の意を示しています。